2012年6月14日木曜日

最近のインプラント報道について思うこと

こんにちは。
大変久しぶりのブログです。ここ数年インプラント講演会など多忙のためブログ自体をすっかり忘れていました。
また少しずつでも始めようと思います。宜しくお願いします。さて皆さんもご存じのように今年に入り、インプラント治療のトラブルが
某テレビ局や、各種新聞で取り上げられきました。その前にはダメになったインプラントを使い回した事件もありました
これからインプラント治療を検討されている方やすでに治療をされている方もさぞ心配されていることと思います。某テレビ局の番組を見ました。インプラント治療のレントゲンが出ていましたね。私もびっくりしました。通常ではあのような深さまでインプラントは
埋入致しません。
インプラント治療は私が大学を卒業直後、日本で盛んに導入されるようになりました。約30年前のことです。インプラントは失われた歯を補うように思われがちですが、本来の目的は残存している歯を保存るために行うものです。私が大学を卒業した時は、欠損した部位を補う方法はブリッジと入れ歯の二つの方法しかありませんでした。そのためにブリッジを入れれば、健康な歯を削り歯の寿命を短くし、入れ歯は針金を掛けている歯が虫歯や歯周病になりやすくなります。その点インプラント治療は天然の歯と同じように噛むことができますので、残存している歯に負担をかけずに、おいしく食事ができたり、お口を気にすることなく笑えるので、自信を取り戻せたり、いわゆる生活の質の向上(QOL)だけでなく、お口の中が健康になることで、糖尿病や高血圧などの慢性疾患の予防やさらには痴ほう症の発症を防ぎ、皆さまの「健康長生き」に大きく貢献できるのです。1本のインプラントがお口の健康だけでなく、目の前に座っている患者様の健康のために役に立つことができれば、歯科医師としてこんなにうれしいことはありません。ただしインプラントは保険が効かず、外科手術を必要とします。できればインプラントについて十分な知識と経験をもった先生にご相談されたほうがいいかと思います。私の病院にも、セカンドオピニオンを求めて遠方からお越しになる患者様も多く居られます。先生との相性などもあると思いますが、十分な説明や設備が揃っていることなども考慮されたほうがいいと思います。私は数年前から毎月横須賀市の先生方中心のインプラント勉教会であるNTKと横浜市や川崎市の先生方中心のインプラント勉教会である横浜HAインプラント研究会を行っています。ここの先生方は皆さん診療後自分のインプラント症例を持参し発表しています。
このように一生縣命スキルを磨いている先生にとって、このようなあたかもインプラント治療の賛否を問うような番組や報道が行われているのは大変残念であります。インプラント治療は素晴らしいものです。これは今までインプラントを3000本行い、その自分の経験からはっきり言えます。しかし最後は歯科医師のモラルが問われていると思います。よそから来た患者様のお口の中を見ると、少し疑問になる治療方法もあるのも事実です。日々研鑚して患者様にとって利益になるようなインプラント治療を歯科医師が行うことが一番重要であると思います。